2017年11月8日、ホテルニューオータニにおいて、クライアントの方々をお招きし、MHMセミナーを開催いたしました。セッション1では「変革期の競争法ー規制・執行の変化と企業に求められる備え」をテーマに、セッション2では「平成29年度金融商品取引法改正 フェア・ディスクロージャー・ルールの導入と実務への影響」をテーマに、そしてセッション3では「企業訴訟の最前線 その戦略と実務」をテーマに講演・パネルディスカッションを行いました。
セミナーおよびレセプションに多くの方々にお集まりいただき、当事務所一同深く感謝申し上げます。
セッション1: 変革期の競争法-規制・執行の変化と企業に求められる備え
国際情勢の変動等を受け、競争法は国内外で変革期を迎えている。国内では、長らく続いてきた課徴金制度が大幅に見直されようとしているほか、技術革新やビジネス手法の発展等を背景に生まれた新たな課題に対処すべく、ガイドラインの改正等様々な取組みが行われている。海外でも、国際情勢の変動を受けて競争法の執行に変化が見られ、また、新たな課題にはいち早く対処する動きが見られている。そこで本セッションでは、変革期を迎えている国内外の競争法について、規制・執行の変化と企業に求められる備えについて検討する。
第一部: パネルディスカッション 「カルテル規制と課徴金制度改正の最新動向」
我が国の課徴金制度は、導入から約40年が経過し、現在大幅な見直しの議論がなされている。本年4月には「独占禁止法研究会報告書」が公表され、公正取引委員会は、同報告書の内容を踏まえ、所要の立法措置や運用基準等の見直しを検討しているところである。当該制度改正が実現した場合には、企業や独禁法実務に与える影響は大きく、制度改正の方向性や実務上の影響を正しく理解しておくことが重要となる。
そこで、第一部では、これまでの我が国の制度改正の経過等を踏まえ、今後のカルテル規制・課徴金制度の在り方、制度改正の方向性、及び独禁法実務に与える影響等について議論する。
■パネリスト:
竹島 一彦 (森・濱田松本法律事務所 顧問、前公正取引委員会委員長)
村上 政博 (森・濱田松本法律事務所 客員弁護士、一橋大学名誉教授)
宇都宮 秀樹 (森・濱田松本法律事務所 弁護士)
■モデレーター:伊藤 憲二 (森・濱田松本法律事務所 弁護士)
第二部: 「技術革新に伴う競争法実務の新展開」
第4次産業革命とよばれる技術革新や巨大なプラットフォームビジネスの発展に伴って、データの集積やAI・アルゴリズムによるカルテルの可能性など、新たな競争法の問題が国内外で生じている。これらの新しい事象によって、競争法の理論も発展しており、公正取引委員会によるガイドラインの改正や報告書の公表などがなされている。
第二部では、これらの競争法の近時のイシューを概観するとともに、今後の企業実務における競争法への取り組み方を、競争法違反を防ぐ「守り」の立場、競争法違反を主張する「攻め」の両面から展望する。
■スピーカー:
伊藤 憲二 (森・濱田松本法律事務所 弁護士)
池田 毅 (森・濱田松本法律事務所 弁護士)
高宮 雄介 (森・濱田松本法律事務所 弁護士)
川原 健司 (森・濱田松本法律事務所 弁護士)
第三部: パネルディスカッション 「変革期における日米欧の法執行の潮流」
今年は、トランプ政権の誕生やBrexitの手続開始をはじめとして、国際情勢が大きく動いた年である。国際情勢の変動は、世界各国の競争政策にも影響を与えている。そこで、第三部では、近時の競争法の重要論点について、欧米競争当局で法執行を指揮した経験のある弁護士を招き、米国、欧州、日本の状況を比較しつつ議論する。具体的には、調査協力や和解的解決といった競争当局と被調査企業との関係、新しいタイプのビジネスや違反行為への規制の方向性、保護主義など政治状況が競争政策に与える影響等を取り上げる。
■パネリスト:
William Baer (Arnold & Porter Kaye Scholer LLP パートナー、前米国司法省反トラスト局長)
Luc Gyselen (Arnold & Porter Kaye Scholer LLP パートナー、元欧州委員会競争総局・担当局長)
宇都宮 秀樹 (森・濱田松本法律事務所 弁護士)
■モデレーター:加賀美 有人 (森・濱田松本法律事務所 弁護士)
第四部: 総括
内田 晴康 (森・濱田松本法律事務所 弁護士)
セッション2: 平成29年度金融商品取引法改正 フェア・ディスクロージャー・ルールの導入と実務への影響
セッション2では、来春までに導入されるフェア・ディスクロージャー・ルールの全体像について、金融審議会 市場ワーキング・グループ フェア・ディスクロージャー・ルール・タスクフォースにおける議論や問題意識も踏まえつつ具体的に解説するとともに、本制度が上場会社の情報管理・情報発信の実務に及ぼす影響と課題について、事業会社、機関投資家、アナリスト、投資銀行など実務に携わる関係者それぞれの視点から、具体的に議論する。本セッションを通じ、フェア・ディスクロージャー・ルール下において、株主・投資者との建設的な対話の促進と市場参加者の信頼の確保を実現するための指針を提供するよう試みる。
第一部: パネルディスカッション 「フェア・ディスクロージャー・ルールの全体像」
平成29年5月17日に、フェア・ディスクロージャー・ルールに係る金融商品取引法の一部を改正する法律が成立、5月24日に公布され、来春までには本制度が導入される。
フェア・ディスクロージャー・ルールは、公平・公正な情報開示に対する市場の信頼を確保するために、上場会社等が、その業務に関し、重要情報を一定の取引関係者に対して伝達する場合には、伝達と同時に当該重要情報を公表しなければならないとするものである。他方で、本制度の導入によりかえって上場会社による投資家との対話が委縮してしまうことを懸念する声も上がっており、株主・投資者との建設的な対話の促進と市場参加者の信頼の確保を実現するための具体的な指針が示されるとともに、適切な実務運用がなされることに対する関係者からの注目が集まっている。
そこで、第一部では、プレゼンテーションとして、改正金融商品取引法に規定されたフェア・ディスクロージャー・ルールの全体像について解説するとともに、法文からは明らかではない事項や議論を要するポイントを抽出し考察する。続くパネルディスカッションにおいては、上記プレゼンテーションを踏まえ、金融審議会 市場ワーキング・グループ フェア・ディスクロージャー・ルール・タスクフォースにおける議論や問題意識に照らして、本ルールの射程と規制内容について具体的に議論する。また、インサイダー取引規制、法人関係情報規制、企業内容等の開示制度等の他の金融商品取引法・取引所規則に基づく規制や米国 Regulation FD 等海外の制度との比較、また、コーポレート・ガバナンス・コードやスチュワードシップ・コードの観点からの分析も加える。
- プレゼンテーション:根本 敏光(森・濱田松本法律事務所 弁護士)
- パネルディスカッション:
■パネリスト:
青 克美 (株式会社東京証券取引所 執行役員、金融審議会 市場ワーキング・グループ フェア・ディスクロージャー・ルール・タスクフォース・メンバー)
加藤 貴仁 (東京大学大学院法学政治学研究科教授、金融審議会 市場ワーキング・グループ フェア・ディスクロージャー・ルール・タスクフォース・メンバー)
佐藤 淑子 (一般社団法人日本IR協議会 専務理事)
石井 裕介 (森・濱田松本法律事務所 弁護士)
■モデレーター:根本 敏光 (森・濱田松本法律事務所 弁護士)
第二部: パネルディスカッション 「フェア・ディスクロージャー・ルールの導入による実務への影響と対応」
フェア・ディスクロージャー・ルールの導入により、上場会社の情報管理・情報発信の実務に極めて重要な影響が予想されると同時に、金融商品取引業者(インベストメントバンカーやアナリスト等)や機関投資家といった、上場会社等から重要情報を受領し得る立場にある取引関係者においても、上場会社との対話の在り方に留意が必要となる。第二部においては、上場会社によるIRをはじめとする情報のやり取りに関わる関係者がパネリストとして参加し、これまでの日本企業によるIRその他の情報発信や投資家・株主・関係者とのコミュニケーションの現状と、本制度の導入がかかる実務に及ぼす影響について議論する。さらに、ディスカッションを通じて、実務上関係者が留意すべき事項と取り得る対応についても考察する。
■パネリスト:
鉢村 剛 (伊藤忠商事株式会社 代表取締役 常務執行役員 CFO)
中野 次朗 (日興アセットマネジメント株式会社 株式運用部)
小池 圭吾 (みずほ証券株式会社 グローバル投資銀行部門プロダクツ本部)
川村 紹子 (モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社 法務・コンプライアンス本部)
根本 敏光 (森・濱田松本法律事務所 弁護士)
■モデレーター:熊谷 真和 (森・濱田松本法律事務所 弁護士)
セッション3: 企業訴訟の最前線 その戦略と実務
どのような業種や分野の企業であっても、企業活動を行って行く上で、競業他社、取引先、権利侵害者、国などを相手方として、訴訟を提起せざるを得ない場合があります。また、反対に相手方から訴訟を提起される場合もあります。その際、重要となるのが勝利のための訴訟戦略です。訴訟戦略は事案毎に異なるものではありますが、具体的な事例の中には、他の訴訟にも共通する戦略的な示唆が含まれていることもあります。そこで、セッション3では、当事務所において、企業訴訟の最前線で活躍する弁護士と元裁判官の弁護士が、具体的な事例を紹介しつつ、企業訴訟に共通する戦略や実務について、分析・検討を行います。
第一部: 基調講演
藤原 総一郎 (森・濱田松本法律事務所 弁護士)
第二部: パネルディスカッション
<モデレーター>
井上 愛朗 (森・濱田松本法律事務所 弁護士)
1)「企業訴訟総論-裁判所の有利な心証を獲得するための企業の訴訟活動とは」
訴訟の目標は、訴訟活動を通じて裁判所の心証を有利な方向へ導くことにより、有利な判決又は和解を獲得することにあります。1)では、総論として、近時の企業訴訟に関する裁判例や裁判所の訴訟指揮の傾向を踏まえながら、企業側にとって有効な訴訟活動とは何か、また紛争化を見据えた平時の企業活動の留意点について、特に最近増加している証券訴訟の事例等を取り上げながら、分析・検討します。
■パネリスト:
藤原 総一郎 (森・濱田松本法律事務所 弁護士)
稲生 隆浩 (森・濱田松本法律事務所 弁護士)
小島 冬樹 (森・濱田松本法律事務所 弁護士)
難波 孝一 (森・濱田松本法律事務所 弁護士)
2)「控訴審・上告審の訴訟戦略-不利な状況下での逆転に向けた訴訟活動」
訴訟は常に有利に進むとは限りません。裁判官の思い込みや誤解、戦略ミス、など様々な要因によって不利な状況に陥ることもあります。2)では、第一審・控訴審で敗訴した場合を想定し、控訴審・上告審における一般的な訴訟戦略や実務を踏まえつつ、具体的な事例に基づき、逆転に向けた訴訟活動について、分析・検討を行います。
■パネリスト:
大石 篤史 (森・濱田松本法律事務所 弁護士)
山崎 良太 (森・濱田松本法律事務所 弁護士)
上村 哲史 (森・濱田松本法律事務所 弁護士)
設樂 隆一 (森・濱田松本法律事務所 弁護士)
3)「訴訟戦略の構築と遂行-事案の本質に迫る訴訟活動」
訴訟では、代理人弁護士が事案の本質や実相を深く理解した上で、訴訟戦略を構築し、それを法的論理と正義の観点から具体的な訴訟活動に落とし込み、勝訴判決獲得まで粘り強く遂行していくことが重要です。3)では、具体的な事例をもとに、そのような訴訟活動の動態を紹介しつつ勝訴のポイントを分析します。
■パネリスト:
飯田 耕一郎 (森・濱田松本法律事務所 弁護士)
荒井 正児 (森・濱田松本法律事務所 弁護士)
荒井 太一 (森・濱田松本法律事務所 弁護士)
大野 志保 (森・濱田松本法律事務所 弁護士)
奥田 隆文 (森・濱田松本法律事務所 弁護士)
第三部: 総括
飯田 耕一郎 (森・濱田松本法律事務所 弁護士)
過去のMHMセミナー
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2025年2月28日(金)10:45~12:00“The Role of Competition Law and Policy in Fostering Innovation and Competition for Artificial Intelligence”外部主催
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